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マジで苦労したところ → こう対応した

シリーズ5本目。きれいな話は前の4本で書いたので、ここは愚痴も含めて書きます。AIと開発すると、想像していなかった種類の苦労があります。

アプリが重すぎて使えなかった

ゲーム本体は1枚のHTMLで約1MB。これをAIのチャットアプリで扱おうとすると、アプリが固まります。ファイルを貼るだけで応答が止まり、会話が長くなるとさらに遅くなる。開発初期は「AIが賢いかどうか」以前に「アプリが動くかどうか」との戦いでした。

対応: チャットにファイルを貼るのをやめました。ファイルはGitHubに置き、AIはそこで作業する。チャットでやるのは判断と指示だけ。1本目に書いたGitHub連携は、性能問題の解決策でもありました。

推測でAIが進めてしまい、何度も痛い目を見た

これが一番多い。具体例をいくつか。

共通しているのは、AIは「知らない」と言うより「それっぽく埋める」ほうを選ぶということです。悪意はない。ただ、埋め方がうまいので、こちらが気づきにくい。

対応: 「未確認」を強制する。「確認したか」を聞く。確認していないなら確認させてから話を進める。面倒ですが、痛い目を見た回数を考えると圧倒的に安い。

ChatGPTに移行したが、こちらも地獄だった

アプリの重さと推測癖に耐えかねて、一時期ChatGPTに移りました。結論から言うと、別の種類の地獄でした。

まず、率直な印象として、Claudeに比べるとChatGPTは明らかにクオリティが下がりました。進歩の早い世界なので現状は変わっていくと思いますが、私が開発をしていた2026年3月〜8月のあいだは、返答もコード開発も、Claudeのほうが質の高い形で返してくれていたと思います。

それと、妙な癖がありました。最新版が出てから1週間くらいは「お、さらにできるようになったな」と感じるのに、1週間を過ぎると途端にアホになる。毎回そう感じたので、気のせいではないと思っています。これも困りました。

そして、BANされた

決定的だったのはこれです。当初このゲームは子ども向けとして制作していたのですが、ある日突然「幼児虐待の可能性がある」としてアカウントをBANされました。異議を申し立てても、二度と復活できませんでした。

心当たりはまったくありません。調べてみると、子ども向けのアプリや学習ドリルを制作している人たちが、同じようにBANされているケースが見つかりました。おそらく「子ども」に関する語をコンテンツに含む開発が、自動判定に引っかかったのだと思います。

このとき強く思ったのが、GitHubにプロジェクトのすべてを保存しておいて本当によかった、ということでした。アカウントは消えましたが、コードも、判断の経緯も、ルールも、全部GitHubに残っていた。失ったのは会話の履歴だけで、開発そのものは止まりませんでした。

この話は02「AIのメモリーは当てにしない」に書いたことの、いちばん極端な実例です。AIの中にしか無い情報は、アカウントごと消えます。

対応: Claudeに戻りました。そのうえで、ツールを変えるのをやめて運用を変えました。どのAIでも事故は起きるなら、事故を防ぐのはAIではなくルールと確認です。そして、いつどのAIが使えなくなっても続けられる形にしておくこと。これが一番の保険になりました。

AIは時々、ものすごくアホになる — 世界のナベアツ現象

好調なときはこういう成果を出せるAIが、急に理解力が落ちることがある
好調なときはこういう成果を出せるAIが、急に理解力が落ちることがある

普段はまともなのに、あるタイミングで急に理解力が落ちる。さっき説明したことを忘れる、簡単な指示を取り違える、同じ間違いを繰り返す。私はこれを「世界のナベアツ現象」と呼んでいます。(3の倍数のときだけアホになる、あの芸です。普段は普通なのに、特定の条件で突然おかしくなる感じがそっくりで)

起きやすいのは、会話が長くなったとき、複数の話題が混ざったとき、こちらの指示が曖昧だったとき。

対応:

それでも続けている理由

ここまで愚痴を書いておいてなんですが、AIなしでは、このゲームはできていません。物理エンジンの導入、たくさんのアイテムの画像処理、惑星ごとのハザードの実装、サイトの構築、記事の下書き。ひとりで趣味の時間にやるには、量が多すぎる。

物作りが好きな人には、夢のような環境

私は長年、Webやゲームの仕事に携わってきました。理由は単純で、デジタルの世界で物作りをすることが好きだったからです。

組織に属して仕事をするのは、自由に物作りができるわけではないし、デメリットも多くあります。それでも、他の人と連携できること、会社の予算で物作りが進められることは、大きなメリットでした。個人では、企画・設計・実装・デザインを全部ひとりで抱えることになる。現実的に無理があるから、会社という枠組みが必要だったわけです。

それが、変わりました。

AIを使うと、プランナー、ディレクター、プログラマーなど、3人月分くらいのコストが月額200ドルに収まってしまう。この数字を最初に実感したときは、正直、少し呆然としました。かつてなら予算を取り、人を集め、スケジュールを引いて、ようやく着手できた規模のものが、ひとりの手元で動き始める。

組織に属することなく、自由に物作りができる。これが最大のメリットだと思っています。作りたいものを、作りたいように作れる。会議も稟議も要らない。夜中に思いついた仕様を、その夜のうちに試せる。

とくに、これまで会社でWebサイトやアプリサービスに携わってきて、物作りが好きな人にとっては、夢のような環境が来ていると思います。ドメインの知識も、仕様を詰める力も、品質を判断する目も、そのまま活きる。足りなかった「手を動かす人手」の部分を、AIが埋めてくれます。

もちろん、ここまで書いてきたとおり、手放しで楽になるわけではありません。AIは優秀だが確認をしない部下だと思うとちょうどいい。任せられる仕事は多い。でも最終確認だけは、絶対に自分でやる。その前提でいれば、思ったより遠くまで行けます。

最初から知っていたら

このシリーズは、まだ続きます。思い出したこと、新しくハマったことがあれば書き足していきます。

シリーズ「最初から知っていたらこうした」

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